これからの生産技術者の役割【第3部】3. 製品生産マスタープラン(2)

2 マスタープラン立案における基本的考え方

マスタープラン立案において、スタートは
1) 将来の顧客への提供価値から検討する
2) 固定/変動化構想は商品を群で捉えた中で進める
3) 顧客に先行し、他社に先行し、商品開発に先行する
の3つの基本的考え方がある(図表3-11)。

3-11

1)将来の顧客への提供価値から検討する

1つは、「検討のスタートは将来の顧客への提供価値」ということである。生産技術部門にとっては「顧客」は遠い存在だが、どのような商品を提供するかの前に、どのような価値を提供するかが大切なのである。

何年サイクルでモデルチェンジする、などは企業側の言い分である。最終消費者は入手できる情報量が拡大し、知識も豊富になっている。企業側の都合など見透かされる。「顧客にどのような価値を提供したいのか」がまず重要なのである。この「顧客にどのような価値を提供したいのか」の議論には、最終消費者から遠い生産技術部門からでは入りにくいと思っている人が多いかもしれない。しかし、成熟化した商品が多い今の世の中では、差別化に繋がる技術や、低コストを実現できる技術のネタを持った生産技術部門は非常に重要な役割を担っている。

2)固定/変動化構想は商品を群で捉えた中で進める

2つ目の基本的考え方は「商品を群でとらえた中での固定/変動化構想」である。限られたリソースの中で効果的に、タイムリーに技術開発を行うには、「プラットフォーム」という考え方を取り入れることが重要である。

マスタープラン型開発ではプラットフォームを、①製品プラットフォーム、②生産プラットフォーム、③技術プラットフォームの3つに分けて捉えている。

①製品プラットフォーム
マスタープラン型技術開発では、個別の商品ではなく、将来の複数シリーズにまたがったシリーズでの企画を考える。その中で、あるユニットを共通でいくか否かを予め検討しようというのが、製品プラットフォームである。

「固定/変動化」とは、製品および生産の構成を、市場ニーズに対応して変動させなければいけない部分(=変動部)と、設計や生産の効率化を重視してできるだけ固定化させたい部分(=固定部)を明確にするということだ(図表3-12)。この固定/変動化の狙いは、市場ニーズと生産ニーズの矛盾を解くことにある。この「固定/変動化」を検討する際にはいくつか注意しなければいけないことがある。

3-12

[注意点1] 「変動部から検討する」
マスタープラン立案の基本的な考え方は、「顧客への提供価値がすべてのスタート」なのである。「変動部」とはその商品の個性を表す部分である。最終消費者のニーズの違いはどこなのか?そこが明確に異なるからこそ複数の商品ラインナップが必要であり、そこが不明確なラインナップは不要なのである。そのため、まず「変動部」はどこなのか、あるいはどのように変動させることが顧客への提供価値につながるのか……を明確にすることが重要なのである。

[注意点2] 固定部には寿命がある
数年にわたり固定部として生かし続けるためには、技術の成熟度をよく考慮しながら固定部を設定することが必要になる。対象ユニットや部品の技術の成熟度を見たときに、まだ技術として発展中であり、異なる方式が次から次へと見出されているようなときには、そのユニットや部品を固定化することは難しい。
また性能で見ても、そのユニットの性能が商品競争上の重要ポイントであり、性能競争が非常に激しいような時には固定化することは困難である。

[注意点3] 製品と生産を連携して固定/変動を考える
3つの注意点は「製品と生産を連携して固定/変動を考える」という点がある。ここで2つ目のプラットフォームとして、「生産プラットフォーム」の設定が必要になってくる(図表3-13)。

3-13

② 生産プラツトフォーム
生産プラットフォームとは、製品プラットフォームに対応して、生産拠点・ライン・工程・設備の固定/変動化をどのようにするのかを描いたものである。

製品プラットフォームと生産プラットフォームを連動させてデザインしないと目標コスト達成は難しい。いくら製品側で固定にしたからといって、生産側でそれを考慮したつくり方になっていないと、安いコストではつくれない。セットで考えるということが重要なのである。ここで生産技術部門に重要な姿勢が「受身にならない」ということである。

③技術プラットフォーム
そしてもう1つのプラットフォームが、これらのベースとなる「技術プラットフォーム」である。有名なものにアメリカの3Mのテクノロジー・プラットフォームがある。「接着」「不織布」「画像」など30~40のプラットフォームを定めて、それぞれの分野で強化に取り組んでいる。

どのような技術プラットフォームを作るか、どの水準まで技術プラットフォームを上げるかを将来の消費者への提供価値を基準にしながら、製品プラットフォーム、生産プラットフォームと連動させながらデザインしていくことが重要なのである。ここでデザインするプラットフォームは、製品に関わる技術だけではなく、生産技術についても同様に計画・開発・蓄積していくことが重要である。

3)顧客に先行し、他社に先行し、商品開発に先行する

3つ目の基本的考え方は「消費者に先行し、他社に先行し、商品開発に先行する」ということである。マスタープラン型技術開発により狙っているのは「市場と技術を同時に開発する」ことである。新しい技術に基づいて新しい市場を作っていくのである。消費者にどのような価値を提供していくのかを描き、それを実現する技術開発計画を同時に立案し、潜在ニーズヘの新しい価値をタイムリーに提供することにより、新たな市場を創造していくのである(図表3-14)。

3-14

これからの生産技術者の役割 目次
まえがき

経営戦略と生産戦略の整合化を

ものづくり改善体制づくリヘ5つのキーワード

あとがき

ものづくりで、前人未踏の地を開拓する

CPE 生産技術者マネジメント資格 CPF 第一線監督者マネジメント資格 CPP 購買・調達資格公式サイト ものづくりポータルサイト ものづくりのためのJMAオンラインセミナー JMA GENBA Management Conference & Award 第一線監督者の集い GOOD FACTORY賞 受賞記念講演会 ものづくり総合大会 JMI生産・開発マネジメントコース 生産革新プロフェッショナルコース JMA海外体験型研修プログラムJ-EXCEED
ページトップへ戻る