製造業における人材育成の重要性とその手法 ~その2~
経営者が理解すべき人材育成の考え方
優秀な人材は勝手に学んで成果を出すと考える人もいるかもしれませんが、そんなことばかりではありません。採用したら終わりではその人材を100パーセント活用することは不可能であるばかりか、能力のある社員が見切りをつけて退職してしまう恐れもあります。
バブル経済がはじけていわゆる成果主義が導入されたことで、以前まで日本経営の強みであった「人を大切にする」経営方針が崩れたとも考えられます。実際のところ完全な成果主義がうまく機能した業界は少ないといっていいでしょう。
人間は、感情や個性があり能力も人によって異なります。「成果しか評価しない」「一画的な研修制度を取り入れる」だけという体制では、社員を尊重したキャリア育成を実現することはできません。また、日本の製造業は現場主義が進むあまり本社機能が弱体化しがちであるという問題点もあります。
OJTという名の現場任せのみの人材育成では、企業の価値観の浸透や長期的な社員の能力開発は困難といえるでしょう。企業の成長につながる人材育成をするためには、経営者や経営陣が「教育によって社員は成長する」ということを信じること、そして自社が求める人材像を明確にしてリーダーシップを発揮することが重要です。