【不正防止コラム vol.6】不正防止に向けた対策
それでは、マインド、プロセス、プロダクトをどのように変えていくのか、について考えていきます。
1つ目のマインドとは、従業員のコンプライアンスや不正に対する意識が欠如された状態、言い換えると、自らの仕事の基準が社会的要請に目を向けていないマインドのことです。
このようなマインドにさせないために重要なことは、「社会View」を部門内に浸透させ、相談、相互理解をしやすい環境づくりをしていくことです。
繰り返しになりますが、コンプライアンスは社会的要請に応えていくことですので、いかなるときにも、QCD目標達成マインドのみに傾注することなく、社会的要請の基準を常に持ち続けることが重要であり、その視点を「社会View」と表現しています。この視点を理解し、認識することが第一歩です。
次にそれらを職場の中に浸透させ、相談・相互理解ができる環境を作っていくことが重要です。気になるような問題が起きても相談しないコミュニケーションの状態や、他の人は何をやっているかがお互いに見えない環境は、異常や不正に気づきにくい環境といえます。
逆に言いますと、他の人が何をしているのかというのがわかる、問題が起きたらすぐに言えるような職場であれば、事前に不正の芽の段階で問題を見つけて改善するような職場になっていくのではないかと思います。これは“不正防止”に限らず、様々な問題の早期発見・解決につながることであり、QCDへの貢献も同時に期待されるマネジメントと考えられます。このような環境を作っていくのがマネージャーの役割です。
次にプロセスです。
プロセスとは、不正発生リスク、不正見逃しリスクを認識した上で設計がなされていないプロセスのことです。
みなさんの業務の中で標準や規範を定めていると思いますが、それらがいつでも誰でも守れないような業務はないだろうか、と注意を払わなければいけません。守れないリスクが潜んでいれば、何か問題が起きる、業務負荷が集中する等の事態が起きたときには、さらにそのリスクが高まります。
従って、そのようなリスクの認識に基づいてプロセスを設計することが重要です。リスクには、法令認識リスク、ルール非遵守のリスク、情報セキュリティリスクの3つがありますので、そのような視点をおさえた上で、自部門のプロセスに対してリスクを把握し、リスクを低減させるプロセスに見直していくこともマネージャーとして重要な役割といえます。
また「データに基づく異常の発見」も大切です。様々な評価、実験のデータに対して、そのデータの出所、測定方法、データの傾向、過去の実績との比較などの観点で客観的にレビューすることで、異常に気付く可能性も高まります。
最後、プロダクトです。
プロダクトとは、目先に追われ、製品、サービスの競争力が失われているようなプロダクトのことです。
将来の目標値を掲げて、長い目で技術を高めるロードマップがないと、やがて競争力は失われてしまいます。ですから、実力値と目標値が相当乖離している状況ならは、危険信号かもしれません。
このポジショニングのアンマッチは、今の自社の抱えているリソースに対して、製品のバリエーションが多すぎるなど、製品戦略にムリがある状態により生まれる可能性が高まります。
このようなムリな環境を作らないように、中長期的視点に立って技術力を向上させていく計画を作り、技術者の育成を含めて取り組んでいかなければなりません。
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