自立するために必要な勇気づけとは? 技術者育成 講師インタビュー① vol.8
今回は、開発技術研究部門における中堅リーダー養成コースの講師を務める関根さんにお話を伺いました。
聞き手は日本能率協会(JMA) 森宮です。 第7回の内容はこちら
自立するために必要な勇気づけとは?
森宮
今のお話を聞いてそういうラインナップを日本能率協会で提供できればいいと思いました。
関根
セミナーをやっている会社は、今までに気づかなかったことを気づかせ、こちらの方向で学べばいいということを示唆する役割があっても良いと思います。
日々の仕事が忙しい中、キャッチアップをしなければならず大変で、すべてを自分でできないとします。そんなときはどれくらい頑張っているかを自分に問えばいいのです。
そこには十分に頑張っていない自分もいるはずです。
頑張っていないのにグダグダと文句をいっているのは、「私はできていません」といっているのと同じだと思います。
その言葉が意味するのは、新しいことがなければ日々の仕事をちゃんとでき、日々の仕事がなければ新しいことを学べるということです。その答えが分かりますか。
「私はできる」と思っていて弁解しているのです。これが弁解体質です。
こんなことをいっていたのでは何の意味も持ちません。
私はいつもセミナーでこのことを説明しています。
「自信がない」という言葉が意味するのは、自分に可能性がないと思う自己限定です。
だから、「自分はやればもう少しできる」といいます。でも、これは頑張ったことがない人のセリフなのです。
何も頑張っていないから「やればできる」という言葉が口をつくのです。
そういう人たちには「どれくらい今の仕事をちゃんとやり、新しいことを頑張ったのですか」と返せばいいでしょう。
頑張っている人はやっているわけですから、グダグダいう前に次の手を打つようにマインドセットしなければいけないのです。
そうなるためには、勇気づける人間が近くにいる必要があります。
何かをやってくれるのではなく、「くじけるな」といってくれる人間が良い同僚、上司、先輩です。「最後まで頑張ろう」と励まし合うスポーツと同じなのです。
結果として勝負に負けても、どれだけくじけずに頑張れたかが、自分の自信につながります。こういうことは私も自分の経験で気がつきました。
その瞬間にできなかったとしても、ちゃんと前向きにやれていたかどうかを自分に問うべきです。気持ちを変えると状況がどんどん変化し、物事が動きだします。
そのときに少しだけ物事を動かすためのテクニックやスキルが必要ですから、それをセミナーで教えています。
森宮
最後に物事の動かし方の結論をお願いします。
関根
マネジメントは正確にいえば、ものと人です。要するに物事と人の動かし方なのです。
知らないで暴れないようにそのことを知っておいた方が絶対にいいでしょう。それと勇気づけをすることです。自立できるように勇気づけするわけです。
会社の事情や世の中の制約、個人的に恵まれないこともいっぱいあるでしょうが、そういうことを嘆く自分がどんなにかっこ悪いか考えてほしいですね。
逆に見ると、そういう制約条件を乗り越えていく自分はかっこいいと思いませんか。
誰も見ていないようでも1人だけ見ている人がいるのです。分かりますか、それは自分です。
「その自分に恥じないような仕事をしないとかっこ悪いよ」と私はいいたいですね。
森宮
でも、そこを放棄されてしまうと、どうにもなりませんよね。
関根
仕事の仕方とはそういうものなのです。
何を教えているのだろうと思いながら、スキルやテクニックを解説していますが、本当はそういうことを教えているつもりなのです。
森宮
部門とか対象とかの垣根を超えたすごい話をいただきました。
きょうは本当にありがとうございました。
関根
ありがとうございました。
おわり 8/8