人の力を集めることの大切さとは? 技術者育成 講師インタビュー① vol.2
今回は、開発技術研究部門における中堅リーダー養成コースの講師を務める関根さんにお話を伺いました。
聞き手は日本能率協会(JMA) 森宮です。 第1回の内容はこちら
人の力を集めることの大切さとは?
森宮
ものづくりにかかわる人のスキルアップが必要という声はよく聞きます。
かつては良いものを作り、技術に長けていれば許された時代があったのかもしれませんが、積極的に自分がやっていることを人に説明する姿勢やマナーに欠けるという話しも耳にしています。
その辺りの自覚はどのようにして促していますか。
関根
私ももともと技術畑に身を置いていたので、あまりコミュニケーションに積極的ではないという気持ちはよく分かります。だから、研修でも強要はしないようにしています。
自分のレベルが上がれば仕事の結果が良くなり、それによって物事が打開されていくわけです。だけど、自分1人で良いものができるかというと、そうではありません。
仕事は結局、集団で結果を出すものです。
集団の力を信じるかどうかが、すごく大きなポイントだと思います。
だから、そのことに気づいてもらえるように話を進めているのです。
そのことはある程度の年代になると、分かっているはずです。
でも、そこへ踏み出す勇気がない人もいるでしょう。
私のセミナーのテーマはリーダーシップが中心になっていますが、組織目的のためにどう力を結集するかをもう1つのテーマにしています。
それで、人の力を集めることが大切だということをずっと伝えるようにしてきました。
世の中には何かを伝えたら、人が変わると思っている人がたくさんいますが、そんなことはありません。自分が担当する研修では、研修の最初と最後を比べたら、受講した人が変わっているといわれるように、布石をずっと打ち、いろいろなトレーニングをしながら、学んでもらっているつもりです。
森宮
ご本人たちはそれが必要なことと頭で分かっているのでしょうか。
関根
頭では分かっていると思います。
ただ、それを認めることができるかどうかが難しいところです。
認めたくない人はあれこれとロジックを張ります。
自分で自分を正当化しているわけです。
そんな人になぜそれが大事なのかを直接伝えても、ほとんど届きません。
自分や他の例を示して気づいてもらうしかないわけです。
人に気づきを持ってもらうのは、簡単でないと常に感じています。
森宮
例えば開発部門だとしたら、他の部門に尋ねて市場のニーズを把握しなければいけませんし、コストを考える必要があります。
コミュニケーションの持つ役割やリーダーシップの重要性は変わってきていると思いますが、どうでしょうか。
関根
変わったのかなと思いますし、昔から変わっていないような感じもします。
どうなのでしょうか。
つづく2/4