組織の壁を取り払う方法とは? 技術者育成 講師インタビュー① vol.3
今回は、開発技術研究部門における中堅リーダー養成コースの講師を務める関根さんにお話を伺いました。
聞き手は日本能率協会(JMA) 森宮です。 第2回の内容はこちら
組織の壁を取り払う方法とは?
森宮
説明しても分からないと考えるなど、意識の壁もあるように見えますが。
関根
仕事のスタイルがその人の仕事上の人格を決めてしまいますから、日常的にどんな仕事のさせ方をしているのかは非常に大きい気がします。
上司のいいぐさや口癖は知らず知らずのうちに部下も真似しています。
子供のいうセリフが親のセリフと同じなのといっしょです。これは私が確信していることなのです。
森宮
それについて具体例はありますか。
関根
例えば「やらなきゃいけないことは分かっているのですが、難しいです」といういい方があります。
これは上司を前にして弁解するときのセリフです。
それで「あっちの部門の要求はよく分かるけど、こっち側としては難しい」と使います。
組織の壁というのはこういうことではないでしょうか。
その言葉を使うなら、その言葉自体が持つ重要性を分からないといけません。その言葉を使う自分たちが何を思っているのかが、分かっていないといけないわけです。
組織の壁が厚い人たちは自分たちが良い仕事をすれば、あとは他の人たちもそれぞれの分担で仕事をし、結果が出ると単純に考えているのでしょう。
役割分担としてはありだとしても、すり合わせをしなければならない部分や力を借りないといけないことに対する視点を欠いています。
東京大学の藤本先生は日本が得意な部分はすり合わせの技術だといっていますが、この考え方はものすごく大事だと思います。
組織の壁とかいっている場合ではないのですが、他の部署とうまくやり取りができない人がそんなふうにいっていると、その会社の組織の壁が高くなっていきます。
森宮
そうですよね、かなり根が深い問題ですね。
関根
仕事がうまくいかなくなったとき、制約条件があるから難しいので条件を変えようとか前向きに考えていればいいのですが、相手方をずっと批判することは、わりと仕事の場でもよくあるのです。そういうことも研修で端々に出てきます。
グループワークを違う会社間でやってもらうと、何をいつもいっているか、どんな仕事ぶりなのかが、私には大体分かります。その会社の特徴も何となく理解できます。
上司がどんなことを話し、周囲がどう考えているのかが、おおよそつかめるのです。
そういう悪い部分を止めてもらいたいと考えています。そこに力を入れています。
そのために、いろいろな事例を説明しながら、セミナーを進めています。
つづく 3/8