新しいことを採り入れるのに必要なこととは? 技術者育成 講師インタビュー① vol.7
今回は、開発技術研究部門における中堅リーダー養成コースの講師を務める関根さんにお話を伺いました。
聞き手は日本能率協会(JMA) 森宮です。 第6回の内容はこちら
新しいことを採り入れるのに必要なこととは?
森宮
客観視というか、立場を変えて考えさせることは、ものすごく大事だと思います。
現代を生きるビジネスパーソンは多かれ少なかれ「新しいものを生み出せ」と催促され続けています。一方で新しい技術が世界中で毎日のように生まれ、その情報なり知識を蓄えておかないと時代に取り残される危機感に煽られています。
組織の中で人や物事をどう動かすか考えなければいけない一方、自分自身のブラッシュアップも絶えず求められています。
そんな人たちへのアドバイスをお願いします。
関根
おすすめするのはある程度、時間を取ることです。
新しいものを得るために最も効率が良いのは、それを知っている人たちに近づき、肌で教えてもらうことです。だから、セミナーへ行けばいいのですが、本当にそれを分かっていません。
本当にできる人から肌で教えてもらったことは、紙の上で学んだことと随分違います。
それを実体験すればかなり変われると思います。それなのに、みんなはセミナーという場の良さを理解していないかもしれません。
セミナーをする側も本当に大切な点をセールスポイントにしていないように感じます。
もっと自信を持って売り込めばいいと私は思いますね。
新しいことというけれど、その人やその業界にとって新しいことと、今新しいことは違います。新しさとは結局、いろいろなものがあるわけです。さまざまな新しいことがあるのに、それらをすべてひっくるめて新しいという言葉で表現しています。
シリコンバレーのような新しさもありますが、もっと手前にも翻訳して輸入すべきことがいっぱいあるはずです。そういうことを学ぶのを会社の風土にしていくべきでしょう。
暇があったらセミナーへ行くのではなく、ちょっと新しいことに触発されるためにセミナーへ行くようにするのです。1日でも2日でもそういう時間を取るだけで、いろんなことが頭に入ってきます。たとえ、覚えられなくてももっと勉強しようとするきっかけになるでしょう。そのくらいの時間を都合つけられたらいいのにと思います。
「日々の仕事があって大変」という人もいるでしょうが、私からすると「それも仕事だろう」といいたいのです。そういう人は結局、覚悟ができていないことになります。
森宮
その時間と機会を自分で作れといいたいのですね。
関根
それを上司が見せないといけません。
上司が勉強せずに部下がするわけがないでしょう。後ろ姿を見せる必要があるのです。
「勉強しろ」といわなくてもいいから、上司が新しいことに興味を示し、「君たちも好きなセミナーへ行ってみたら」といえば、「私はこれに行きたい」という部下が出てくると思いますよ。
つづく 7/8