6つの基礎知識の重要性とは? 技術者育成 講師インタビュー② vol.2
6つの基礎知識の重要性とは?
ジン・コンサルティング
代表 西村 仁 様
森宮
部署にかかわらず必要な固有技術と管理技術について、もう一度説明いただけますか?
西村
固有技術は「材料知識、加工知識、読図知識」が中心になります。どのような材料を使い、どのような方法で形をつくり、これらの情報を伝達する図面をどう読むのかという3つの基礎知識です。
一方、いくら形ができたとしても、不良品だらけだったり、つくるコストが高くついたり、お客様の納期に間に合わなければ、ビジネスになりません。そのために、効率よくつくるための技術が管理技術です。「品質管理、原価管理、生産管理」の3つがメインになります。
森宮
なんとなく日常で「そうかな?」とわかっていそうなことでも、こうして3つの固有技術と3つの管理技術に分ければ、理解も深まると感じます。
西村
モノづくり企業にお勤めの社員は理系のイメージが大きいのですが、間接部門を中心に文系の方が多く占めています。にもかかわらず、文系の学校でモノづくりに関するカリキュラムは皆無に近い。だからこそ、はじめに全体のフレームワークを示すことは大事だと考えています。
森宮
これらの基礎知識を習得すれば、次のステップとしては応用知識になるのでしょうか?
西村
固有技術と管理技術の基礎は部署に限らず大事な知識ですが、基礎知識を得たから、じゃあ今度は応用編かというと、それは違うと思います。基礎知識を得たら、次はご自分の担当分野に絞って専門知識と技能を高めていくことが求められます。
森宮
すると基礎知識は「広く・浅く」、専門知識は「狭く・深く」ですね。
西村
この考え方は、学校の場合とは違います。学校というのは基礎が出来たら、例えば、通信簿ですべて3がとれたら、「次はオール4を目指そうね」といった方向性だと思います。弱点科目をつくらず、すべての教科を底上げしていくスタンスです。
しかし、社会人の場合はすべての分野でオールラウンダーであることは現実的に難しい。開発にしても設計にしても製造にしても、資材購買も営業も、プロフェッショナルのレベルを求められるからです。勝負すべき自分の分野で飛び抜けることで、関連する知識も必然的に上昇していきます。
森宮
知識を習得するうえで、こうしたスタンスは大事ですね。ところで、管理技術をターゲットにした生産スキル入門セミナーでは、品質管理、原価管理、そして生産管理の基礎について演習を踏まえながら進めておられますが、受講者の理解の程度といいますか、手応えはいかがですか。
西村
受講生は入社して間もない方も多く、どうしても学生時代の授業のイメージがあるので、研修のはじめに「暗記の必要はないこと」「テストも無いこと」「演習の回答で個別に指名はしない」ことを伝えると、要らぬ心配が除かれて安心して受講されています。セミナーでは理解を深めてもらうために座学と演習の2本立てで進めていますが、意外と文系出身者の方が演習などでも積極的に楽しんで取り組んでおられるように感じます。
つづく 2/7