コミュニケーションと問題解決 技術者育成 講師インタビュー② vol.6
コミュニケーションと問題解決
ジン・コンサルティング
代表 西村 仁 様
森宮
ものづくりのプロセスでは、コミュニケーションというか、大事なことの申し送りのリレーが肝です。それがどこかで方向性を間違ってしまったり、停滞してしまったりなどということがあると、どんどん末端で影響が大きく出てしまうような側面があります。
西村さんはその現場の悩みとか、上流の工程と下流の工程間の壁をすごくわかってらっしゃる。それはやはり日々研修等を通じてたくさんの人に接しているからでしょうか。
西村
製造業でもサービス業でも、コミュニケーションは基本中の基本といわれていますが、まさにそのとおりだと思います。モノづくりでは、モノと情報が流れます。モノは目で見えるので、不良が出てもわかるし、停滞しているかも見ればわかる。しかし情報は文字や画像にしなければ見えないので、より意識することが大切です。この情報を伝える手段のひとつがコミュニケーション。
もうひとつコミュニケーションが威力を発揮するのが、問題解決です。一人で頭を抱え込んで悩むのではなく、チームで議論することがとても有効です。特にブレーンストーミングと呼ばれる手法でワイワイガヤガヤ話し合う。品質不良で合ったり、在庫があふれていたり、計画した日程にいつも遅れが出るなど、定常的な問題がどの現場にもあると思います。一人で解決できるなら、とっくに解決しているはずですね。それほど難しいのだから、みんなで話し合って解決していく。これが問題解決のポイントです。
森宮
コミュニケーションでチーム力を発揮するわけですね。
西村
問題解決のもうひとつのコツは「原因分析」です。一見あたりまえのように思えますが、意識していなければ、人は原因分析を飛ばして、いきなり対策を考えだします。
例えばパソコンで数値の入力ミスが発生したときの対応として、朝礼などで「今後ミスをしないように気をつけること」と指示する。ほんとうにこういうケースは多いのです。
この場合では「なぜミスしたのか?」という問いから始めることが大切です。「これから気をつけてやりなさい」といった精神論では解決しないですよね。
森宮
「なぜ入力ミスをしたのか」が大切なわけですね。
西村
具体的に入力ミスの原因を探っていきます。例えば元の原稿の字が汚いから読み間違えたのか、数値の桁数が多いので読み間違えたのか、パソコンのキーの反応が悪いからつい2回押してしまい二重入力になったのかを探ります。そのうえで対策を考えます。
「字が汚い」のならもう少し文字を大きく丁寧に書きましょうというのが対策です。「桁数が多くて読み間違えた」のなら、用紙に3桁ごとに線を引いておけば読み間違えを防げます。「キーボードの反応が鈍いから2度押した」のならキーボードを替えれば一挙解決です。
こうしてみると「これから気をつけよう!」よりはるかに効果が見込めることがわかります。
このほかにも細かいコツがあるので、セミナーで事例を挙げてお伝えしています。
つづく 6/7